サンソード時代に大変革が行われたからそのネガティブイメージが強いんだろうけど、私は比較的サンソード氏に対して否定的見解を持ってない。プロデューサーだから責任を負うのは当然と言えば当然なんだけど、AoS変革だってプロデューサーだから勝手に方向性決められるもんでもないだろ。社内で実際にプロジェクト動かした経験者だったら判ると思うが、普通の会社はオーナー社長でもないとそんな勝手な行動できない訳で。
もしもプロデューサーが自分の意のままに全てを改変できるのだとしたら、その人物は恐るべき手腕を持った「敏腕プロデューサー」であると断言してもいい。
ある程度以上の会社であれば企画とかデザインの段階で何度もミーティングを実施するだろうし、もしも会議の列席者が「その方向性は不味い」と思えばきちんと反証挙げてディベートする機会はある。(まぁ、ディベート強い奴が会議の方向性を決めてしまうという問題点はある)
良くファンサイト等ではサンソードが全ての悪の根源で…みたいな論があるが、もしも本当にそうであるなら彼は恐ろしく有能なプロデューサーであった事になる。人身掌握が一番難しいんだぜ?
恐らく事前にキーマンを口説き、夢を語り、とりまきを作るなどの工作が恐ろしい頻度で行われたであろう。また、開発関係者を抱きこむのであればそれなりに技術的な話等を出来るように勉強もしているであろう。AoS自体のゲームの出来/不出来は問わないが、最終的に会社勤めの企画運営者としてのサンソードは恐ろしく有能な人間ではなかったか? もしもサンソード氏の「プロデュース能力」がそれほどの物でないのだとしたら、AoS問題は開発陣や企画会議参加者全てが受け止めるべき問題である。
今、MrTactがUOを過去方面バランスに戻そうと躍起になっているが…気をつけた方がいい。
今、メインでモンスター倒したり金稼いだり家買ったりしている「ゲーム内をかき回している連中」は恐らくAoS以降に参入した若いプレイヤーだろう。彼らがある程度口が達者になった時、過去方面バランスに戻った事を今遊んでる連中が嘆くかもしれない。そして今UOがどーだこーだ言ってる古参はその頃UO周辺には余り残っては居まい。批判の矢面に立つのはMrTactだろう。どんな改変であろうと、それを賞賛する者も居れば貶す奴も居る。そしてネット上の議論と言うのは大体においてネガティブ方面の話題の方が盛り上がる物だ。
参考:
昔ROやってた時もサイト運営してたんだけど、その頃は(ゲームの楽しい内容殆ど書いてないのに)なんと半年で60000だか70000だかのHit数を稼いでいた。戦技研は2年半かけてようやく60000Hitだ。当時のサイトのカウンターはサイト移動の際にぶっ壊れてしまっているが、戦技研にくっつけてる汎用VesselさんBBSの最下部にあるカウンターは83000を示している点に注目して欲しい。
んで、AoS改変事体だけど…システムのコンセプト自体はアップデートされたMMORPGライクで別に悪くないと思う訳で。ただ、顧客動向の読みがかなり甘かった。結局AF乱造が全ての悪の根源だと思うのだけれども、その超兵器欲しさにそこでキャンプする連中が出てくるとは思わなかったのだろう。
ギャリ男にも言えるんだけど、どーも顧客動向の読みが甘いように感じる。
妄想鰤でサンソード撤退記念にギャリ男の台詞引っ張り出してるけど…そこで語られている内容は、MMORPGの基本理念と言うよりも、T-RPGコンベンション等にキャラ持込で参加する連中への訓戒と言った方がしっくり来る。(まぁ、その発言した頃はMMORPGをネットを使って行うRPGコンベンションぐらいに考えていたのだろう)彼の発言は昔々(10-15年ぐらい前?)にアメリカのT-RPG雑誌に寄稿されてた文章とかなりの部分が被っている。背景世界の描写に凝るべきだという発言も第二期以降のT-RPG関係の書籍で散々語られてきた事である。(そしてT-RPGの第三期では背景世界とその背景世界を際立たせるシステムの開発が行われ、その後背景世界を堪能する為にはシステムのバランスをどーこーしてもいい様な事言い出すゲームが(少なくとも、日本では)乱造された。そしてこのシステムではベテランはともかく新規参入者が感じを掴みにくいという弊害が発生したのである)
なるほど、統一された世界観や背景世界の作りこみは確かにゲームを深いものにする。
しかし何事もやり過ぎは良くない訳で、作りこみも度が過ぎるとマニアにしか受けないという弊害が発生する。間口を広くするためには「一般的なファンタジー世界」と言う曖昧模糊とした物を目指さねばならず、マニアを満足させる為には独自の世界観が必要になる。両輪をきちんとバランスしなければベテランから初心者までを満足させるゲームにはならない。(そして、普通はマニア市場よりもビギナー市場の方が市場自体のパイがでかいのだ!)
私はAoSにより「普通のRPGっぽくなった」ソーサリアは初心者呼び込みにはかなりいい結果をもたらしたと感じている。同時にそれはマニア層から蛇蝎の如く嫌われるのも承知している。マニアはマニアであるから「一般化、平準化」を嫌い、それが一般市場においてどの様な結果をもたらすかを考える事が出来ない…これはT-RPGとかウォーシムでも起きた事だ。実は自作PC関係でも同じ事は起きた。
少し話がずれるが、私はかなり重度のPC自作オタでそれが職業にまでなっている。そしてそのマニアの視点からすると何でもかんでも日本語マニュアルが付き、保障され、ジャンクなのに買ったら動く事が暗黙のうちに了承されている自作PC業界を苦々しく思っている。設定なんぞシルク印刷を見て判断し、ドライバー等ネットで落とせ!
元々自作PC業界ってのはそうした努力を要求する代わりに安価にPCを組み立てることが出来た世界であり、各種サービスを付加した為に値段が釣りあがるのはおかしいのである。そういう意味では私は自作PCの方面においてはUOの過去厨と同じ視点を持っている。
そして同時に今現在も自作PC業界にいる身として「こうなるのは必然だった」と思っている。(と同時に…流れを変える事が出来なかった事を未だに悔やんでる。初心者教育にもう少し力を注いでいれば、少しは流れを変えられたかなぁと…だから戦技研なんてもん作ってんだよ!)
私もそれ相応に年食ったので、同じ過ちを二度も三度も繰り返したくは無い。
自作PC業界と同じ様に最後は業界全体が勢いを失う様な…そんな結末は御免蒙る。
話を戻そう。
ギャリ男はシステムの方向性をRuneQuest(しかもヒーロークエスト無し)方面、或いはグレイホーク等の世界に近付けたいと思ってたんじゃないかと思うのだが、それは最終的にマニア層だけ肥大して初心者が参入しにくい世界を構築したと思う。人口比は少子型の構成となり、緩やかに破綻しただろう。
ギャリ男の発言をそのまま受け入れると、恐らく初期のT-RPGと同じ様にシステムは衰退して行ったと私は思う。と言うか辿った道筋がまんまT-RPGと同じなんだもん…
正直、T-RPG方面で深い世界設定と独自色溢れる設定、奥行きのあるゲームシステム(つまり、それなりに煩雑なシステム)が天下取った例は無い。D&Dがベーシックであり、Sword Worldがベーシックなのは「汎用的な」世界観と「簡単な」ゲームシステムだからである。前にも指摘したが多くのプレイヤーは「普通のファンタジー世界」で遊びたいだけであって、RuneQuestやペンドラゴンの様なマニアな世界は好まないのである。セブンフォートレスとかがウケたのだって、汎用的なラノベを再現できる…そこの部分に多くの客が興味を抱いたからだろう。
また、初期のMMORPGでは先にも挙げたようにオンラインでセッション持ったり(実はこれがMOの祖であるDiabloのシステム設計方針だろう)、オンラインで速報性のあるPBMをやろうとしていた節がある。これが最大の失敗だと思うんだが…ゲーマーなんてほっとけば四六時中ゲームやりたがる連中なのだ。経過時間や経験が強さ(武力/財力人脈)に直結するRPGと言う世界では、正直常時接続できる段階でシステムバランスをとるのが厄介になるのは目に見えてる。
ちょいと長くなってきたのでこの話はまたいつか書こうと思うのだけれども、AoSは実際の所成長要素を指数関数的な形で捻じ曲げ、一見凄い差が出そうに見せて実際には殆ど効果が見込めないと言うかなり大胆な成長抑制を行ったゲームシステムになっている。数値化されて面白みが薄くなった…とか言ってる連中はシステムを見ているつもりで実際にはシステム上の数値に踊らされている可能性が高い。参考 ←これの余禄部分を見よ。
そういう意味で私はAoSを嫌ってたり、サンソードがダメダメだという意見に色々な方面から懐疑の目を差し向けている。勿論駄目な部分もあるが誰も言及しないだけでシステム的な良さも割りと多い。しかし否定派はそんな事おくびにも出さないし、もしかしたらそういうシステム解析をしていないのかもしれない。アイテム集めと言う要素を戦力に大きく依存させない形で取り込んだAoSシステムは、実際の所拡張性の部分で過去のUOシステムに勝るぞ。
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