他の所でも少し触れたんだが、なんかUO界隈で問題になっている物の根源に、ある事物に対する認識問題が絡んできているようなので、その辺を題材にとって少し話をしてみたい。
UOは言うまでも無くファンタジー世界を題材に取ったMMORPGなのだが、ファンタジーファンタジーと言っても色々とサブジャンルがある。私の好きなクトゥルフ物だってファンタジーであろうし、グインサーガだってファンタジーだし、スレイヤーズだってファンタジーだ。
その分類には色々と「切り口」があるんだけど、今回はまずファンタジーの定義とその中で生きる人々の部分について切り込んでみたい。
まずはこの文章読んできて欲しい。大体のアウトラインはこれで掴めると思う。
そして次に考える…UO、いやファンタジー系MMORPGつーのはヒロイックなのか、エピックなのか?
ヒロイックサーガが成立する為には、物語の中心に英雄が必要である。それは時に特殊な設定を持ち、尋常ならざる力を有し、世界を背負ってたった一人(パーティーが介在する場合もある)で敵に立ち向かう。
はい、多くの場合MMORPGではヒロイックファンタジーが成立しません。それがゲームサービスである限り、特定の人に多大な「力」を与える訳にはいかんのですよ。参加者が全て均質なサービスを受ける関係上、MMORPGにはヒーローが発生する事はまず無いんです。
多くの「平凡な人々」が主人公になり、その「凡俗」が群れて世界をなんかしていく…これは明らかにエピックの方面に傾倒する施策です。私はMMORPGが構造的にエピック路線に傾かざるを得ないのではないかと愚考します。そして「MMORPGはエピックを志向するべき」と言う仮説を立てると…なんか色々な諸問題が解決するのですな。
まずAFなどを含む装備問題。
みんなゴイスーな装備を手にとんでもなく強いモンスターをバシバシ殺し、PvPでは一定戦術&装備が極めて有効に働き、一般の鍛冶屋が作った普通の高品質品は意義を失う…実にヒロイック方面に傾倒しています。そこでは「普通の装備に身を包んだ存在が輝く瞬間」が残されていない。
超絶的な主人公が伝説の剣と盾と鎧の三つ揃えを持って世界を滅ぼしかねない何かと戦う…コナンですか? エルリックですか?
それはMMORPGとマッチングしないんじゃないか? この問いかけが現在UOのシステム関係がアンバランスであると判断する論拠になっている気がする。逆に言うと、特殊な剣(アイテム)はあっても良い、ただそれは極端な戦力格差を生み出す物ではなく、それがあるから世界がどーなるなんてもんであってはならん訳ですな。以前戦技研でも触れたんだけど、そもそもAF(アーティファクト)と言うアイテムは世界の趨勢を競う為にイモータルが作成したもんで、元々はヒロイックをやるためのプロップなんですよ。MMORPGにそれを持ち込んだのがそもそもの間違いだったんじゃ無いかと思う。
前に俺様王様とかそういう手合いを批判した事もあったが、今思えばその論拠って詰まる所「それじゃエピックファンタジーにならないんじゃね? UOでヒロイックファンタジー目指すのなんかおかしくね?」と言う私の深層意識から出た物なのかもしれない。
全ての人々が…まぁ大半の人々がと言っても良いが…UOがエピックな世界である事を了承し、その基本軸を忘れなければソーサリアは色々な意味でバランスするのではなかろうか?
しかしここに大問題がある。
UOサービスの利用者の過半数である「日本人」は、どーもエピックな世界にあまり興味持って無いんじゃないんじゃないか?
エピックの定番といえば指輪物語なのであるが、どうも主人公であるフロド様よりガンダルフとかの「特殊設定てんこ盛りのヒロイックになりやすいキャラ」に人気集中している気がするのね。エルフとかが人気なのも、「一般人は人間でエルフは特殊」と言う部分に心惹かれているのでは無いか?
FFのストーリーラインも、ロードス島戦記にしても…日本で人気のあるファンタジー作品でエピックな題材を持っているものは非常に少ない。もしかしたら日本人は深層意識の中で「ファンタジー=ヒロイックファンタジー」と言う等式を既に構築しているのでは無いか?
そうだとすると、問題の根は深い。
MMORPGと言うシステムそのものが実際は日本人の嗜好に合わないと言う危険な結果が出てくるかもしれないし、今現在行われているUOシステムの改善案と言うのは…恐らくはかなり「エピック」テイストで「特殊な人など存在しない」と言う方向性で整備される可能性が高い。そうすると、MMORPGとしては正しいバランスでありながら、実際市場にマッチングしないと言う恐ろしい結果を招く。
朧気ながら私はその辺の構造に気が付いていたらしく、ソーサリアに降り立った人々はヒーローになるような「稀人(まれびと)」ではなく、「ソーサリアの住人である」と規定しているし、色々な文章でその方向性を強く打ち出している。(一生懸命それ喧伝してるんだけど、中々フォロワーがつかないのが悩みどころ…そういう話がウケないと言うのも、日本人がヒロイックを嗜好しやすいと言う推察の論拠になっている)
もしもUOシステム改善までにソーサリア住人の意識を変えることが出来なければ…それはかなり悲惨な結果を招くのではないか? いやマジで市場をしっかりリサーチして分析しないと不味いんでね?
日本の古典文学で考えると
返信削除エピック(叙事的)平家物語など軍記もの
ヒロイック(英雄的)竹取・源氏など
なんだろうけど、エピックであるはずの平家物語でさえ『八艘飛び』とかありますからねぇ。
実際にあった歴史上の出来事でさえも、すぐに英雄物語に改変したがるのが日本人の性質なのでしょうな。
「そして伝説へ」という有名なフレーズが指し示す通り、歴史上の1個人を英雄に、そして伝説にして神様に祭り上げることこそが、日本人にとっての”物語の完成”に他ならないのでしょう。
その「物語の完成形が主人公の神格化にある」と言うテーゼが「変更不能」である場合、日本人にはMMORPGがそもそもそぐわないと言う結果が出て来る危険性があるんじゃ無いか?
返信削除よー考えたらUltimaだってそういう筋書き(アバタールわっそい)なのに、UOではその線を行けないと言うのも…