火曜日, 7月 25, 2006

まぁ、茶飲み話と思いねぇ

幾つかの外部のRPG関係の話と関係付けられる部分があるので、茶飲み話程度に聞いて欲しい。

ロールプレイングゲームと言う遊びのロールプレイと言う部分なんだが、実は幾つかの要素の集合体であるなんて事が1990年代から提唱されてきている。これがある部分で論争を引き起こしている原因でもあるんだが…世間一般でロールプレイと規定されている遊びの中には「社会的立ち位置」を演じるって言うのと、「特定個人の判断に至る過程を楽しむ」と言う二つの側面がある。
簡単に自分の持ちキャラで例を出すと、Vesselは純戦士として生きている。彼は「Vessel特有の性格や嗜好」と「ソーサリアの戦士」と言う2つの側面を持っている訳だ。その両面が共に成立した時に「純戦士Vessel」と言う存在が成立する
彼が鳥の丸焼き好きだったり、酒呑まない…或いは信仰部分と言うのは、実際にはソーサリア内での彼の「個性」に関連する部分。戦士としての側面は社会に関係する際の彼の一つの側面だと思って欲しい。
戦士なので…とりあえず誰かに「古代竜倒して鱗持ってきてー」と言われればホイホイ出かけるだろうし(それが戦士の仕事の一つだと思うわけで)、彼は戦闘を通じて収入を得て、それで生活をしている。

この「社会的な立ち位置」と言うのは、実は自分のプロフィールの一部でありながら、実際の所自分で自由に設定できる物ではない。これはあくまで「他者との関わり」の中で始めて規定されるもので、彼が実際に戦士を名乗ろうが、実際に過去に戦士として稼いでいようが…楽隠居の如く宿屋で牛乳飲んでたら(少なくとも、その姿を見た人からは)ただの暇な人になってしまう。しかし、そんな楽隠居の生活をしていても、自分が規定し自分の規定通りにその個性部分での設定を遵守していると、彼は彼であり続ける事ができるわけだ。遵守すると言う側面はあるものの、ここの部分は比較的気楽に好き勝手なことを設定できたりする訳ね。

問題は騎士とかいう設定が「社会的な身分を示す」と言う部分。
それは実際の所、自分で宣言するだけではなんともならない部分であり、宣言すると自動的に他者からそう信じてもらえる物ではない。それが騎士だかなんだかははたから見ていてすぐに察することができる類の物ではないのだ。これは日頃から弛まぬ「そう見てもらうための努力」無くして規定され得ない。
更に問題を複雑化させる部分として…騎士道スキルとか規定されているけど、実際の所あれは戦闘職種用の戦闘補助スキルであり、実際の「社会が騎士に求める要素」では無いのだ。実際問題、デュプレなどのNPC騎士様は騎士道スキルを使わないのに騎士たり得ている。
この問題は実の所根が深い。
鍛治屋スキルは鍛治技術を包括するスキルであるが、スキルが入っていてもそういう行動をしなければ中々他人から「鍛治屋である」とは認識されない。そして「そういう認識」をして貰うためには年がら年中鍛治スキルを行使していれば良い…職能スキルが社会的要請に完全に合致している。キコリも必死にキコっていれば(ランバージャッキングスキルを使っていれば)人からキコリと認識されるだろう。
しかし、社会的要請と余り縁のない所でスキルを規定されてしまった「騎士道」。もしも上記と同じメソッドで「騎士道スキルを用いることが、世間が騎士に求める物である」とした場合…ソーサリア騎士は戦場で叫び声上げる人と言う謎の存在になってしまうと言う訳。
似たことは書写やバード技能でも起こっている。書写スキルが何故か魔法のブーストスキルとして機能するが故に、本当に書写屋をやりたければ四六時中本を携え、実際に書写をして見せなければならない。バードも基本的な部分で「モンスターに催眠術を掛けるスキル」になってしまっているから、本義的な「吟遊詩人」になる為にはバード技術の関係しない所で「実際に歌を歌ってみせる」必要が生まれてくる。
まだ書写屋や歌うたいは良い。実際のスキルと直結していないが、端的に「こうすればそう見える」と言う部分が明確であるから。
ところが、騎士である。
実際に騎士とかそういう社会的身分を良く知らない人に、騎士としての自分を見せ付けねばならないのだ。
しかも実際に「騎士っぽいもの」を知っている人もどこの国のどんな連中を騎士と規定しているか皆目見当が付かず、実際何して見せれば騎士と規定されるかが実に微妙な職業だったりする訳で。(これはクラスシステムみたいに「システムが騎士として規定している」場合でも同じ。騎士をゲームに組み込むなら社会的な部分の作りこみが必要になる)
実は騎士というのは…そういう部分で実に演じるのが(他人にそう思わせるのが)難しい職業なのである。
あまり接した事は無いのだが、Izmのマティアス大公国(潰れ済み)の大公は中々面白い人物だった。余り接したことが無いのに、確かに彼からはそういう威厳を感じ取れてしまったのである。それはある意味で私が知る「大公ってこんな存在」と言う概念に合致したと言うことでもあるし、僅かな期間でそれを感じ取らせるのに充分な「匂い」を出していたと言うことである。ぶっちゃけ、かなり濃ィい大公臭を放っていたと思う。
最もこれは「私」の嗅覚で知覚できるだけで、他人にはそれを嗅ぎ分けることが出来ないかもしれない。
もしかしたら他者から見れば「なんか変なオッサン」になっている可能性もある。
しかし、彼はその匂いを感じ取れる人の間では相変わらず「大公」の名を冠するに値する人物として存在し続けるだろう。

私が基本的に「普通のキャラやっとけ」と言うのは、この辺に起因する「馴れていない人への(余計な)助言」である。騎士だの貴族だの特殊な生まれだのは
スキルをそのまま通常使用して人々に社会的立ち位置を他者に知らしめる事ができない。
ちょっと特殊な存在(社会的立ち位置、職業)なのだ。それを最初期に「演じる対象」にしてしまうと、少なくともUOでは苦労を強いられると思う。逆に言うと社会システムとして「騎士」の存在が規定されているゲーム(Lineage系とか国家システムや戦争と言うシステムの存在するゲーム)の方が騎士プレイはしやすいだろうなと思うわけで。何しろ基礎部分が既にシステムでフォローされてるしね…即ち「所属/臣従するべき存在と、特定組織に占有される領土」である。
逆に言うとUOのシステムではその辺のサポートが非常に手薄なので、色々な事を考慮し、自分で企画し、自分で実行しなければならない。その為にクソ面倒な基礎素養を調べたり、演技訓練しなければいけなかったり…(前出の騎士の存在をシステムとして組み込んでるゲームなら出来合いになっている「所属組織や臣従対象」、そして「一定面積を持つ領土」から自分でつくらにゃいかん…)
UOでRPするのが大変なんじゃなくて、UOのシステムでは騎士プレイを気楽にできないと言うだけの話。

既に多くのプレイヤーが気付いていると思うのだが、ソーサリアはT-RPGで言うなら第一期製品の中盤以降の世界を模倣している。ぶっちゃけD&Dのコンパニオンルールとかその辺。社会は未分化の状態で放り投げられてて、どっちかと言うとダンジョンと規定の町が存在する「冒険の舞台装置としての世界」。複雑怪奇な社会システムはまだ存在せず、それは見聞きするだけで関与しきれない世界…その中で(社会身分としては)普通の、個性豊かな冒険者の一人としての「自分」を演じるのが、ソーサリア的には「割と簡単な」方式ではないかなと。
つーか、PCは皆大同小異で「冒険者」になるしかない世界。

古の「オーダー/カオス」システムとかだったら、騎士の存在も割と簡単に規定できたんだろうなぁ…



と、恐ろしいことにここまでが枕だ(えーっ)
問題はこの「社会的な立ち位置とかの情報」と「個性に分類される情報」の設定を皆がごっちゃにしている部分。社会的な立ち位置をロールすると言うのは、ゲーム的に言えば戦士の中でも盾役、アタッカー、その他の小さい意味での分業部分にあたる事もあるし、もっと大きく町長、国家元首、宗教関係者、歌うたい、漫才師、物書き、料理人…と分かれる部分もある。職能と言いかけてもいいだろう。そして困ったことに中世ヨーロッパ方面では職能って身分制度と不可分だったりする。その職能と身分制度が完全に切り離された存在と言うのが、各ファンタジーワールドにおける「冒険者」と言う架空の社会身分になる。
その「身分」と言う問題が話ややこしくするんだけど…要するに身分が高いとその分色々と「お徳」になってしまうのだ。ある部分で貴族になると言うのは有形無形の「先天的利益」を生み出してしまう。それを生まれと言う部分や脳内妄想で補完しようとすると、脳内妄想は見えないもんだから…齟齬起こしちゃうのね。
奇しくも指摘されている部分では在るが…騎士ギルド作ってる人に共通する問題として「お前騎士団長したいだけと違うんか?」ってのがある。騎士団長と言う「尊敬を集め得る社会身分(これだって「お徳」だ)」を言ったモン勝ちで簒奪しようとしているだけなんじゃねーのかと。最初期は傭兵団とかにして「人数少ないから合議制」とか言っておけばこの辺の問題はクリアできそうな気がする。
ある程度所帯が大きくなったら団長みたいなのを選挙で選んでもいいだろう。ちゃんと段階踏んで組織つくろうよと。実際存在するらしいが、国王だけいて国民不在とか、騎士や大臣すらいないってのはどういうことか。

この辺、古典的T-RPGでも古くから問題になっており、ロールプレイというのは社会的身分を演じる物なのか(職能を演じる物なのか?)、それとも個性を演じる物なのか(多くの場合、キャラクタープレイ等と言われる)と言うことで喧々諤々の議論を引き起こしてきた。
実際の所私は中道保守派(両立が基本だが若干古典的な職能を演じる方面に傾きがち)でアライメントはカオテック・グッド寄りなのである。演技と数値的な部分が無矛盾で連結するべきだと思っているし、基本的な部分で「プレイヤーは機会平等でなければならない」と思っている。結果生まれとかそういうので「徳」をするのは許容できないし、宣言を無条件で肯定するという方向も余り賛同できない。(OK, カリスマ基準でd20ロールしたまえ! 口上があるなら聞く…ロールに色つけるよ!)

簡単に言うと、行動無しで…そして重要な場面だったら重要な場面なりに「行為判定」させないと気がすまないし、行動/行為判定の積み重ねでキャラは完成すると。どうして行為判定したくないなら行為判定しないで良い理由を詳細に述べたまえ…こういうウザったい人間なのである。
そもそも言っただけで「そうなる」世界が好きなら、ゲームにする必要ないだろうと。好きなだけ同人(ry

そんな私であるので、組織作成や社会身分の成立も「きちんと行動し、きちんと判定し、その結果として成立して欲しい」とかなり切実に思っている。つまり最初っから貴族や騎士になるなよと。仕官対象見つけて実際に騎士に成り上がって欲しいなと。騎士として何するかよりも、騎士になるまでの過程をも見せて欲しいと。何故ならそれは社会的身分としては成功者の地位であり、徳が付随するからであると。それは基点ではなく中間点やゴールなんじゃないかと。
修道騎士団大いに結構。しかし最初から自分ひとりで修道騎士団立ち上げないで、まず志を同じくする人間を集め、そこで何をするか考えるべきなんじゃないか。そこで上手くリーダーシップを示して結果としてその組織の長になるならまだ納得できる…プレイヤー本人の技術ではあるが、それはリーダーシップの判定と言う要素が含まれているからだ。リーダーになる素養のあるものが、正しくその素質を提示してリーダーになったと言う過程がそこに生まれる。

3 件のコメント:

flamwolf さんのコメント...

そういやGURPSだと、社会的地位も裕福さも「有利な特徴」として扱われ、CP消費しないと取れないですな。
まあ、その分「不利な特徴」を取ればいいわけで。精神的弱点(恐怖症・誓い)やちょっとしたクセとかを限界まで取るのがキャラメイクのセオリーになってます。
長所だけではなく、短所もまた、そのキャラクターのチャームポイントになり得るわけですな。

え?殿下の話? それはココですると長くなりますよ(滝汗)

匿名 さんのコメント...

 騎士について語られている様なので。
 色々と複雑に考えられている様ですが、 複雑にしているのは、異次元(実在した騎士達や他ゲーム、或いは書物等)から受けた各自の騎士像をBritanniaで、騎士と名乗る者達に当てはめるからです。

 最も簡単なのが、身分証明書(ペーパードール)です。PDは、各キャラクターを示す為にも存在しますよね。そこに、Paladinと表記されているなら騎士なのです。NPCの職種を見る時にPDを開き職種を見ますね。それと同じ事です。そこに地位は、存在しません。現在のBritanniaの騎士と言う存在は、下記。
【公式より】
 悪しき死霊術者、恐ろしいドラゴン、凶悪な魔獣たちに接した世界でそれらの者たちと戦う力をもった稀有な存在。それがパラディンです。パラディンは冒険者の中で最も高貴な存在です。
 輝く鎧を纏った真の騎士は、剣と聖なる力で彼の領地を守護します。法と秩序を支持し、必要に応じてその支援をする彼らは、多くの人々に崇拝されています。

 上記が示す様に、『冒険者の中で』最も高貴な存在であり、崇拝されると言う職業だそうです。
 この世界では、Paladinも冒険者であると言う事です。

【国家騎士(RP)】
 これについては、この世界では自然な事です。異世界からの訪問者Aが異世界で王と言う地位であったならば彼は、このBritanniaでも王と名乗り、国家建設に取り掛かり、騎士を抱えるかも知れません。AがLord Britishの存在を知った所で、世界観を大きく崩す要因にはなら無いと思いますよ。
 何でもありなのか?そう言う疑問も出るでしょうが、結論から言えば何でもありなのだと思いますよ。
 ただ、魅せるプレイが出来るか出来ないかの違いです。私が所属したギルド:旧マティアス大公国は国家として、各キャラクター達が魅せるプレイを出来ていたと思います。そこには、良い器(ギルド)を用意してくれた大公と、それを上手く活用出来たプレイヤー達の存在があったからでしょう。
 「普通のキャラをやっとけ」と言うのは、この世界での『普通』を知る事から始めた方が良いでしょうね。

【Britannia世界の普通】
 貴方は、戦士として生活しているそうですね。そもそも、そこから考えなければ成りません。騎士が騎士としてあるならば、こうであって欲しい。こう望むと言う事を言い出してしまうとね。それは、貴方なりの騎士像があり、それに合わない者を否定した考えだから。では、戦士とは何でしょうか?貴方の観点から戦士を見た場合、『普通では無い環境にいる人』の一つの職業でもあります。あなたは、戦士と言う者を御存知なのでしょうか?戦士とはこう言うものだろうと言う、ある種『思い込み』から自分は戦士であると名乗っているだけになり、他から見れば戦士では無いかも知れない事になります。
 ただ、剣を振り回す危ない人ですね。或いは批評家として。

 大切なのは、他を見て批評、否定する事では無く、他を尊重し接する事だと思います。

 長文乱文失礼致しました。

Wildcat さんのコメント...

批評家に見えちまったら見えちまったでしかたなかんべな。Vesselと言うキャラのブログじゃなくてPireinとかいう文筆家もやってるプレイヤーのBlogだし。
両者とも「私」の一側面である。
どっちかだけってのは難しい。(だからこそ「霊魂放逐」作ったんだが)

実際にゲーム内のキャラとしてのVessel見て「あぶない人だ」と思われてしまったらしまったでそれは仕方が無い。今後さらに戦士っぽさを出すように努力はしよう。それが実を結ぶかわからんが。

で、ペーパードールの件だが。
名前だけパラディンならパラディンなのだ論法で良いなら良い。それで自分が納得できてるならどーぞ(自己規定しなさいな…他者がどうでも良いなら自己規定するだけで良いわけで)。
但しその称号は鍛冶屋で名声稼いでパラディン魔法無駄打ちしても得られる物だねと。当然貴兄はその様なパラディンではないと信じるが、その貴方と魔法無駄うちパラディンは貴方の中で同質なのかね? それも同質であると言うなら私は一向に構わない。
つまりパラディンと言う単語が「ある種の魔法の技に長けた者」を意味するだけで、一向に「騎士」として差し支えないならと言う事。
騎士が高潔だなんだと言い出さんと「俺、魔法種類Aに習熟してんだ」と言う連中なら何の問題もないんだろうが。

そこに色々なものが重層的に重なるから色々と問題が出てくる。ソーサリアの職業表示の例を出すならこう答えよう…「つまり、ソーサリアでは地球で言う騎士と言う概念と異なった存在を「騎士」と呼称するんだね。エンチャンター(付与術者)でも良かったんでね? 職業表示」