水曜日, 7月 12, 2006

フックという考え方

最近各所で色々とRPG論が語られているのを眼にするのだが、ここで私も少し違った視点を提供したい。

ま、要するになんかこまけー設定するとかその辺の話が争点になっていると思う。ある人は設定を作成してそれに添う形で「演じる」事を重視するし、またある人はそこまで細かいの決めなくて良いんじゃねーのという論調である。私はどちらかというと「細かい設定無くても良いんじゃね? キャラが動き出してから帰納法的に設定起こすとかでもいいんじゃなかろうか?」という考えなので、どっちかといえば後者に当るだろう。

前にも書いたが、私にとってキャラの背景設定なんぞ「他者に絡むためのおまけ」でしかない。またこれは私が他の人に何か絡む際に「まずプロフを見る」という行動を取っている事でもある。
一応細かく見れば装備の状況や徳ガンプの状況である程度の類推は出来る。しかし更にその人物の背景設定が良い形で明示されていれば…他人に絡むのが更に容易になるのだ。
前に霊魂放逐でも書いているけど、私はタケちゃん(仮名)のプロフに「修理が趣味」という項目を見つけて、「ああ、ここを基点にして話しかければいいんだな」と当りを付けたわけ。
個人的にはこういう部分を「フック」とか呼んでいる。
引っかかったり、引っ掛けたりする為のパーツであると。
そこで上手く引っかかれば、シナリオが進むというか…話が進む訳ですね。だから読んでもどうやって絡めばいいか判らない…俗に言う「突拍子も無い設定」をダラダラやられると、非常に困るのである。
前々から言うように、私にとってRPと言うのは「他人と絡んで遊ぶ為の手法」である。RP設定と言うのも、最終的にはここにたどり着く…もしもRPで設定を決めるなら、他者が絡みやすい設定を作るべきであると。フックを作って欲しいと。
例えば物凄い簡単な設定で「馬が好き」と言うものを考えよう。目の前の人物のプロフにそんな文字が書いてあったと。
もしも私がテイマー等のキャラを動かしてたら…彼/彼女が馬から下りている時に素早くアニマルロアを実施して馬の状態を確認する。そしてその馬の事を事細かに語るね。良い体躯だとか、気質が荒いかな(攻撃力が高い)とか、長距離走るのに向いてるねとか、腹空かしてるみたいよ、ニンジンやったら? とか。
そこまでやれば、馬好きの奴も「ああ、こいつテイマーなのか」と自然に悟ってくれるし、自分の馬好きという設定を上手く活かすことが出来る訳だ。共に設定活かしあう掛け合いが出来る。
所が…貴族だとか何だとか特殊設定てんこ盛りだと…どうやって良いか判らなくなる訳だ。
貴族である、爵位持ちである、XXの血族である…どうしろと?
まだ、ある種の設定「吸血鬼である」とかはいい。ニンニクを出したら少しはひるむかなとか考える事が出来る(まぁ、そんな部分に鈍感な連中は平気でニンニク踏んづけたりするだろうがな)
なんと言うか…正直そういう「絡み辛い設定」起こしてる奴って、自分でその設定を遵守しない傾向がある気がする。
皆に問いたい。
貴族を僭称してる連中は、どっかでメシ出されたときに当然の如く「給仕、ナイフとフォークはどこかね?」ぐらい言うのであろうな? マイナイフ/フォークの準備するぐらいの周到さは見せたいところだ。酒場でピッチャーからワインを飲むような「紳士道に外れる」行為はしていないよな?
能書き垂れるのは自由だが、自らその設定を遵守し、他人にそう思われるように努力しているだろうか?
戦士のロールするならきちんと周囲の人間の武器防具を確認したりした方が良いだろう。そして目ざとく「お、その剣は随分と…」と剣談義をするぐらいして欲しい。実はPireminなんかは見かけた連中の徳ガンプを真っ先に確認する。そしてこっちから「うむ、見事に徳が輝いておるようじゃの!」と声を掛ける訳だ。そしてその部分にこだわりを持っていると言う印象を与え、更にそれを「では、書写屋だから書を贈ろう」と言ってブリ王のVirtureを渡してダメ押しをする。
こういう細部にこだわる事無くただ適当に「俺はXX」とか言っているだけだと、テクノ暗殺拳かよと突っ込まれてしまう訳だ。(そもそもテクノ暗殺拳やテクノ番長を知っている人がいませんかそうですか)
たった一つ、凄いありきたりな設定を周知させるだけでも結構な手間が要る。
そこでダクダク色々大盛で特殊設定を付けてる連中はマジで何考えてるか判らない。それを本当に演技で周知させる事ができるのかと。お前そんな超絶技巧を持っているのかと。

だから逆に私はこう申し上げたい。
設定作るなら作るで構わないし、長文書きたければ書け。
だが、その文章を書き上げたら再度客観的に文章を読み直し、見知らぬ誰かがそれを読んだ時に「話しかけるネタ」「話のきっかけになるネタ」が正しく2-3個含まれているかどうか…それを確認して欲しい。
公爵なんだから公爵として絡んでくれれば良い…そう思うなら公爵に絡む具体的な方策を自分で10個20個考える事が出来るかどうかを省みてみると良い。自分で10個20個「絡み方」を考案できないような設定に対しては、正直10人中1人もレスポンスを返せないと思った方がいいだろう。
騎士にしてもそうだ。話しかけるネタを10個20個考える事が出来るだろうか?(まだこっちは楽だな…)

そして…他人と絡むという部分だけ考えた場合、貴族とかの稀少な存在よりその辺にたくさん転がっている連中の方が絡み方のバリエーションが豊富なのだ。農家の人間なら天気の話題、商人なら物価や新商品の話…定番と思われる話し方が何通りもある。ありふれた存在だからこそ、その詳細が良く判っていて、詳細な情景を想定しやすいのだ。また、独自の背景世界に立脚した設定は、設定を理解する前に背景を理解せねばならないと言う大問題が発生する。
誰にも使ってもらえない設定を起こすのが趣味であると言うなら問題は無い。
しかし、その設定を使ってMMORPGの中で同じ景色を見て、同じ物語の中で生きたいと思うなら…
設定を良く読みなおそう。無駄な労力を割いて徒労感に襲われる前に!
それが重要なんじゃない。その話の中に「他者と引っかかる為のフック」がいくつ用意されているかが重要なのだ!
読んで「へー」で終わるだけの設定資料など無駄だと知れ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

某演歌歌手の場合、
「実際の出来事」だけをプロフに書いてあるので、どんなツッコミがきても対応できますね。
完全な帰納法さん。

存在自体が矛盾の塊のはずなのに話してみると意外にそうでもない人プレイ。

一部故意に嘘情報を混ぜてますが、
嘘情報にツッコミが入ると
「それは品切れなので代わりにこっちをどうぞ」
というマギー四郎プレイに発展します。
隙を見せて、逆に相手をコントロールする術。
(ずいぶん変なキャラに育ったものです)


突拍子もない設定のキャラにだまされるのは気持ちの良いことです。
(例.マフィンの妖精ニッフム君)
イムさんに期待。

Wildcat さんのコメント...

そういえばこの前、Izmでトクノの話が出たんだよ。ローニン屋敷ってなんなのかとか。

「悪党」の話をして、その悪党に付き従った巫女の話しといた(旧 日々妄想に書いた奴)
こうして微妙なへんてこ設定を語り伝えるのは面白い。