木曜日, 6月 08, 2006

三代目の手記:Izmにて

ようやく腕の確かな鍛治屋を折れ矢で紹介してもらう事ができた。修理代は破格の100GP/パーツ
破格と言うと「金取るなんて!」とのたまうバカが出るかもしれないが、信頼できる…つまり武器防具を持ち逃げしない、至極まっとうな事が確認できる…鍛治屋なら、私は武器防具の為に三倍ぐらいの報酬を支払ってもいい。
どうやらその鍛治屋は「社」で言う所のFullerenの様な人物であり、同居人の武器防具の手入れを一手に引き受けているらしい。そして金貨5万枚で中々程度のいい長剣を3振り譲ってもらう事ができた。三本共に先々代の"エクリプサー"や先代の"エエンレラ"に匹敵する能力を保持している。鍛治屋には無理を言って影鉄強化をしてもらった。
三本共に特攻こそ付与されていなかったが、マナ吸収能力を備えた中々の切れ味を誇る業物だった。ここの所ずっと相手にしていて、その上「決め手」となるような決定的武器が揃えられなかったヨモツ戦士に対してかなりの効果を挙げるであろう長剣が用意できたのは非常に嬉しい。
ただ…その対ヨモツ武器は今ひとつ堅牢さが足りなかったので、フォーチ粉を買い求めて堅牢さを引き上げる事にした。結果として大散在にはなったが(金貨が160000枚ほど消えた)、得たものの価値はそれに数倍すると思う。初代が「いい武器を頂戴した時の最大の「礼」は、これぞ我が剣と宣言する事である」と言っていたのを思い出した。
いつかは、私もその様な運命の剣に出会うだろう。その時は私の支払える最高の物をもって遇したい。

鍛治屋を手放しで賞賛してしまったが、困った点もある。
鍛治屋さん…余り耐久の減っていない武具を修理してくれないのだ。こっちは「いつ修理できるかもわからない」境遇なので、修理できる時には全部修理を施し、できることなら宿屋で手入れでもしていたいのだが…まだ使えると言って修理を断られたものがある。
そりゃそうなんだが…
暫くは武器/防具を大切にする戦い方を励行せざるを得ない。


その後、狼の牙の面々と話をした。
戦士のギルドを数多く見てきたが、折角気のいい連中が集まっているなら…彼らには成功を手にして欲しい。
実に色々なギルドが己の理念を掲げ、その道に邁進しているのを見てきた。
そして…高すぎる理念や求めるものの過大さからギルドが崩壊するのを見てきた。
それを防ぐには求める「そのもの」の理解と、それに対してどの様にアプローチするかと言う手法の研究が重要になる。

彼は口には出さなかったが、自分の戦闘スタイルがパーティーの中で浮いているのではないかと言う疑念を持っていたらしい。
全員が全員そのスタイルであればまたやり方も変わってくるんだろうが、幾人かの中で誰かがなにがしかの弱点を持っている程度であれば、それは戦術レベルでの補正が充分可能だと思う。勿論その調整を実施し、彼らの矜持と戦力を察してチームを編成するのは頭領の仕事である。
なんと言うか…我々は「持ち得ない駒」を使って戦う事はできないのだ。手持ちの駒をどう活用してチェックメイトをかけていくか…それが戦術組み立ての基本になる。
少人数の戦闘集団で何か特定の敵を倒さねばならぬなら、或いはそれぞれの「駒」の充分なパフォーマンスアップが必要になる事もあるだろう。しかしギルドであれば人数でそれを補う事もできるし、特定の敵がいないのであれば駒の顔ぶれを見て敵を定める方法もあるだろう。その為には敵の状況や強さ、様々な要因を熟知していなければならないのだが。
チームを組む場合、最も大切なのは「モチベーションを維持する事」であり、負け戦続きではその一番大切なモチベーション…或いは求心力が失われてしまう。だからと言って組する敵を弱いものに限定してしまえば驕りを生むことがあるし、逆に手ごたえを感じなくなった人間のモチベーションが低下する事もある。目新しさだけでは、人は「目新しさ」に慣れてしまう点を留意するべきだ。
適度な強さの障害…それも出来れば「彼ら」は困難を感じ取り、頭領の戦術でその困難さの度合いを低下できる…そんな敵と戦い、「彼ら」にある種の満足感と戦術を理解させると言う作業が実施できれば、戦闘集団はより高みに向かって邁進する事ができる。

昔、最上級の戦力と望む限り最上のメンツを揃えた戦闘集団を見かけたことがある。彼らはごく少数で強大な敵を討ち取り、財宝や名声を思うがままに浴びていたが…その集団内に居た知り合いはその最上級の財宝や名声に飽きて他の世界に旅立った。強すぎてもダメなのだろう。勿論裸にバシネットと言う「弱すぎる構成」でも人は飽きる。
スタイルに対するこだわりと、戦闘能力に対するこだわり…その配分加減で「それ」が定まる。
スタイルにだけ固執すれば戦闘力を犠牲にしてモチベーションが低下し、戦闘力に固執すればスタイルを強要される悲しさから脱落が発生する。

我々が学ばねばならない事は、非常に多く、雑多である。
それに気付く事ができなければ、早晩その組織は瓦解してしまう。
そして瓦解する速度よりも多くの事を一つづつ習得していく速度が勝れば、組織を維持する事ができる。

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